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9 県立病院地域医療部等連絡会
都道府県立病院等に設置されている地域医療部・総合診療部等の運営に携わる自治医科大学卒業医師の参加を得て、平成8年11月30日(土)・12月1日(日)の両日、県立病院地域医療部等連絡会を開催し、地域医療部等の望ましい機能・業務をメインテーマに、?@現在の機能・業務、?A現在の機能・業務の問題点、?B機能・業務の将来展望等について検討を行った。特に、参加者の関心の深いテーマとして、へき地等の診療支援の一環として、マルチメディア時代に対応した、画像伝送あるいはインターネット、パソコン通信等を用いたコンピュータネットワークづくり、情報ネットワークの在り方について、奈良県の例を基に意見交換を行った。現在、画像伝送やコンピュータネットワークによる診療支援を地域医療部・総合診療部等の業務として実施しているのが4部門あり、実施予定又は検討中が3部門あった。
考察

 

県立病院に地域医療部・総合診療部等が設置されたのは、昭和62年の岩手県立中央病院地域医療部が最初である。その後、平成4年4月に、山口県がへき地等の医療の支援と自治医科大学卒業生の活用の促進を目的に県立中央病院に地域医療部(山口県健康福祉部医務課にへき地医療対策班を設置し、地域医療部を併任)を設置した。現在では、12県の県立病院等に設置されるまでに至った。
この間に、自治医科大学卒後指導委員会は、全都道府県を対象に、都道府県レベルでの地域医療のシステム化の事例を調査し、「へき地医療に関するシステム化の事例集、1993」を発行した。へき地等の医師の安定的確保を図り、高齢社会に対応した地域住民に対する質の高い保健・医療・福祉のサービスを提供するためには、そこで働く医師を始めとする医療従事者に対して、実地医療の支援はもとより、生涯教育を含めた満足できるライフサイクルを保証することが不可欠である。この実現は、地域医療のシステム化により可能となるとの認識の基に、各都道府県に対して、地域医療部・総合診療部等の設置及び総合医としてへき地等の医療体験を有する自治医科大学卒業医師の活用の促進を働き掛けてきた。また、厚生省が平成8年度を初年度とする第8次へき地保健医療計画策定のため設置した、へき地保健医療対策検討委員会に対して、都道府県立病院等に地域医療部・総合診療部等を設置する必要性を提言するとともに、その設置及び運営に係る経費等の公的助成を要望した。

 

1 地域医療部・総合診療部等の現状
へき地等の医療支援を主たる目的とする地域医療部・総合診療部等は、現在12県(岩手・山形・福島・茨城・岐阜・静岡・奈良・島根・広島・山口・高知・沖縄)の11県立病院・1組合立診療所に16部門が設置されている。名称は地域医療支援センター、へき地医療支援部・へき地医療支援センター・地域医療部・地域医療室・総合診療科及び地域・救命救急診療科等様々である。このうち静岡、島根及び広島の3県では、地域医療を支援する地域医療部・総合診療部等と院内の各診療科の境界域を担当する総合診療科が併設されている。
これらの地域医療部・総合診療部等は、岩手県を除く全てで自治医科大学卒業医師が直接運営に関与している。このほか、青森県は地域医療支援センターの設置を目指しているが、現在は県の地域医療支援事業として実施している。また、福井県、徳島県にも設置構想があ

 

 

 

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